HAIKU日本大賞2018夏の句大賞発表

HAIKU日本夏の句大賞 金賞

ヤンバルの飛べない鳥よ沖縄忌

[ 東京都板橋区 澤井咲妃 ]

(評)沖縄県北部のヤンバルの森に棲むヤンバルクイナは羽が退化して飛ぶことができません。絶滅が危惧される美しい鳥ですが、作者はこの鳥に哀悼を重ねました。戦闘で散っていった尊い命への深い哀悼が込められた一句です。昭和20年6月23日。太平洋戦争の沖縄戦終結のこの日を「沖縄忌」として、犠牲となった人々の霊を慰め不戦の誓いを新たにします。戦争は繰り返してはならない人災です。「ヤンバルの飛べない鳥」の多くの死亡原因は森の開発による交通事故死だそうです。

銀賞

炎昼や電柱に犬捜す紙

[ 神奈川県鎌倉市 上崎海風 ]

(評)「炎昼」は、灼けつくすような夏の暑さを言います。のっぴきならない用でもない限り外へ出たくはありませんが、そんな用に駆られて作者は町に出ます。その時に目に入った一枚。なるべく早く着こうと、よそ見などする人はほぼ居ません。もちろん、電柱の貼り紙に気を留める人も。そっけないほどに簡略化された句ですが、迷い犬と飼い主との関係の深さは計り知れません。飼い主の空しさを内包した味わい深い一句。

銅賞

夕刊のほてりを開く端居かな

[ 埼玉県さいたま市 加藤啓子 ]

(評)季語は「端居」で、家の端の縁側や風通しの良いところで涼を取りくつろぐこと。家の外に出て涼を得るのは「納涼(すずみ)」です。冷房の普及や防犯面から窓を開け放つことをしなくなった昨今ですが、昔ながらのこの光景は風情があるものです。夕刊を開くと、日中の暑さを思わせる「ほてり」。気温の下がってきた夕刻の安堵感を季語と詠嘆の「かな」が見事に伝えています。

蝉時雨木々の隙間を埋め尽くす

[ 愛知県岡崎市 山田草風 ]

(評)季語「蝉時雨」の本意を見事に表現した一句一章句です。「蝉時雨」の本意とは、蝉が鳴きたてる声を時雨の音に見立てたもの。太陽が照りつける中、森の中で一斉に蝉が鳴きたてています。「木々の隙間を埋め尽くす」は、今が盛りの蝉の生命そのものです。蝉は幼虫として土の中で五年以上。成虫としては二週間ほどの短い命です。蝉の生命の本情に迫った一句。

担当の医師の若さや雲の峰

[ 京都府京都市 田久保ゆかり ]

(評)季語「雲の峰」に自分の気持ちを託しています。「雲の峰」の真っ白な輝きは、夏の明るさに満ちた情感を一気に盛り上げてくれます。若い医師に診てもらう何やら嬉しい気分を詠んだ一句。病気の方も心配なさそうですね。一般には経験豊かな熟練の医師を好みますが、作者がこの若き医師を信頼しエールを送っていることは勇壮な「雲の峰」からよく分かります。

ぎつしりと夏詰め込んで入院す

[ 大阪府大阪市 清島久門 ]

(評)「ぎつしりと」の上五が巧みな一句。病院で過ごすことになった夏。快適に過ごすために「ぎつしりと」詰め込みました。淡々と準備を整え、別に慌てた風もなさそう。入院といいながらむしろ楽しそう。避暑地へでも出かけるようです。何事も暗く捉える必要はないのですね。入院という現実を俳人らしく俳味で跳ね返しています。

ギヤマンの音色ぽつりと夕べかな

[ 兵庫県尼崎市 尼島里志 ]

(評)ガラス細工の器などを総称した季語「ギヤマン」。ギヤマンはオランダ語でダイヤモンドの意。ガラスを細工するのにダイヤモンドで切ったことからガラス製品のことを呼びます。ギヤマンの風鈴は、江戸時代には非常に高価な品でした。この句の「音色ぽつり」で表現されるのは、淋しげな音なのでしょうか。風鈴なのか、大事に仕舞ってあった器を箱から取り出した時の音なのか。この句の「夕べ」の趣きと詩情は作者の心情と共に読者に預けられました。

<秀逸句>

子どもらと掬いてはさて金魚鉢

[ 宮城県仙台市 繁泉祐幸 ]

(評)夜店での金魚すくい。子どもらと金魚すくいをしたものの、今夜はやけに調子が良くお椀にみるみる金魚が増えていく。そんな微笑ましい光景ですが、家には金魚鉢などないという。さて、この結末は・・・。感動詞の「さて」が句にリズムと弾みをつけ、父親の心理をユーモラスに描いています。

万緑や青空食みて累々と

[ 埼玉県所沢市 内野義悠 ]

(評)「万緑」は、一面深い緑色になる真夏の景です。生き生きとして生命力に溢れていることがこの季語の本意です。山登りの景でしょうか。見渡す限りの緑。「万緑」が「累々と」空をせり上げていきます。緑と青のコントラストを読み手に見せながら、夏の豪快さを言い切っています。

後れ毛のまだ幼くて緋の浴衣

[ 千葉県松戸市 山田和子 ]

(評))下五の「緋の浴衣」によって、愛らしい子どもの姿がくっきりと浮かび上がります。やさしく見守る作者の姿も浮かびますね。花火の夜か盆踊りか、人の賑わうことの多い夏。背丈も伸び大人びて見えはしても、まだどこか幼さが覗く年頃。成長していく我が子への眩しさと淋しさが交差します。母の優しい眼が捉えた愛情のこもった一句。

沢蟹や追ふ子等同じ横歩き

[ 神奈川県茅ケ崎市 和葉 ]

(評)夏休みともなれば、子どもたちは谷川や湿地で「沢蟹」を捕まえて遊んだりします。子どもたちの賑やかな声が聞こえてきそうな作品です。真似ているつもりはなくても、ついつい同じ格好になってしまう純真さが可愛いですね。子どもたちの無邪気な姿を詠んだ夏の一場面です。

英会話外で受講の雨蛙

[ 山梨県大月市 坂本真史 ]

(評)素直な叙述で軽妙な俳句となっています。「雨蛙」と「英会話」の取り合わせです。蛙の鳴き声を聞きながらのレッスン風景が目に浮かびます。でも、蛙は部外者ではなく、擬人法を用いてレッスン仲間の一員として登場させています。作者独自の目線が魅力の一句。

立ち漕ぎの自転車競ふ青田道

[ 長野県安曇野市 小川都 ]

(評)一気に言い切った一句一章に力があります。青々とした稲が風になびく「青田道」と風を切って競う「立ち漕ぎの自転車」が共に清々しく鮮やかです。掲句は前へ前へと進み続ける若者の姿そのものであり、読み手にも青春の一ページを思い出させます。「青田道」が句の背景に広がりを持たせています。

夏暁に星の匂ひの残りをり

[ 愛知県春日井市 湖黎 ]

(評)「夏暁(なつあけ)」は、明け方の清涼感漂う夏ならではの趣きを言います。「星の匂ひの」の表現には、作者の豊かで鋭い感性があります。空が白んでくる静かで夏の涼しさを最も感じられるひと時、作者の五感に触れたのは「星の匂ひ」。作者の繊細さも、「夏暁」だからこそ感じ取ることができた情趣ある一句となっています。

図書館の外に図書室夏木立

[ 滋賀県彦根市 馬場雄一郎 ]

(評)木々の緑が美しい「夏木立」。木陰は吹き抜ける風も涼しく、憩いの場となります。「図書室」はそんな中にあります。「図書館」ではなく戸外の心地よい空間。絶好の場所で過ごすひとときは、鳥の声や蝉時雨もまた穏やかに聞こえます。静かな口調の中にも「図書」をふたつ重ねることで読み手を触発し、図書室の存在感が増しました。

武器もなく人が死にゆく猛暑かな

[ 京都府木津川市 初霜若葉 ]

(評)猛暑の中での熱中症による死について詠んだ一句。「武器もなく」に意外性があります。最高気温を更新しつつ、命を奪う暑さが近年続いています。免れる術は暑さから逃れることです。避暑地へと逃げる。水分や塩分を補給する。冷房を効かせた部屋に籠る。かつてのまま「武器もなく」戦ってはいられない夏への脅威を知らしめた一句です。

夏雲は夜も白く夜をゆきにけり

[ 大阪府和泉市 小野田裕 ]

(評)昼間の雲なら歳時記に多く掲載されていますが、掲句は夜の雲を詠んでいます。「夜も白く夜を」のリフレインが心地良いですね。月の夜に「夏雲」は驚くほど白く見えることがあります。この句は詠嘆の助動詞「けり」を継続完了として使っています。人と自然、そして宇宙観へと想いを馳せるスケールの大きな一句。

色のない世界にひとり蝉時雨

[ 大阪府吹田市 木下麻紀 ]

(評)作者の心の中にある風景は今、色褪せたもの。空しさを漂わせる作者ならではの感性に裏付けされた一句。太陽が容赦なく照りつける夏の盛り。鬱蒼とした木々も、枝から透けて見える青空も今は色がないという。眩しい夏も心ひとつで色褪せます。「蝉時雨」の他には何もないという作者の“孤”に句が響き合い、句の情景を深めています。

一人にも大夕焼の惜しみなく

[ 大阪府枚方市 藤田康子 ]

(評)「大夕焼」は、西の空を真っ赤に染める雄大な夕焼けのこと。一人暮らしの“一人”、一個人としての“一人”、疎外感を伴う“一人”と「一人」のシチュエーションは人によって違いますが、天からの恵みは皆同じように降り注ぎます。「惜しみなく」は、感謝の表われであり、また荘厳な「大夕焼」を見事に描き出しています。

銅像の呪縛解けたる薔薇の夜

[ 兵庫県尼崎市 大沼遊山 ]

(評)正義や悪といった抽象的な事柄を銅像などに具体化した作品をアレゴリー作品と呼びます。作者が見た銅像も、そんな概念を想起させていたのでしょうか。どちらにしても、作者がその呪縛から解放されたのが「薔薇の夜」だったという何とも甘美で、美しくも妖しい情景だけは見えてきます。季語が十二音の措辞と響き合っています。

団扇振りコンコンチキチコンチキチー

[ 兵庫県西宮市 幸野蒲公英 ]

(評)京都・八坂神社の祇園祭を簡潔に言い切っています。「団扇」とお囃子の音だけで古都の夏祭りが鮮やかに眼前に広がります。祇園祭は平安時代に疫病の流行を食い止めるために、牛頭天王を祀り祈願したことに始まります。カナ文字の表記が金属的な響きとなり、お囃子の鉦の音を上手く表現しています。伝統の京の夏を音で聞かせた一句。

<佳作賞>

早朝の儚き命蝉時雨

北海道札幌市 瀬川みちこ

フェアウエイ緑抱かれ地球人

北海道札幌市 夢老人

初帰省涙色したドロップス

岩手県盛岡市 蘭延

朝涼や父は故郷に目を細め

宮城県仙台市 亘理健太

甚平や時おり変る座右の銘

福島県会津若松市 武藤主明

風鈴に赤子任せて夕支度

茨城県土浦市 株木謙一

福島に八年ぶりの海開

茨城県常陸太田市 舘健一郎

猫追ひて湯の町の朝涼しかり

茨城県常陸大宮市 細貝雅之

濁流の去りて泰山木の花

茨城県守谷市 喜納舞

花は葉に雨のピークは明日午後に

群馬県伊勢崎市 白石大介

打水やこの世のことはこの世にて

埼玉県上尾市 くもがくれ

この中で扇いでみたい冷蔵庫

埼玉県川口市 惹風

空蝉の数だけ騒ぐ木立かな

埼玉県所沢市 内野義悠

寄る辺なき吾六十の帰省かな

千葉県市川市 田村さよみ

白服の後退りする東尋坊

千葉県浦安市 滝のどか

境内の三角ベース百日紅

千葉県木更津市 鶴岡満

主なき庭に灯るや百日紅

千葉県千葉市 一宮彩香

かがみ読む新聞全紙蚊遣香

千葉県船橋市 川崎登美子

熟しすぎ母の背中はバナナ越え

千葉県船橋市 真綾

空蝉の軽さは風が知ってをり

東京都江戸川区 大舘圭子

飛魚の水面駆けたる競泳会

東京都葛飾区 星野真紀子

たおやかな山も揺れるか夏熱風

東京都新宿区 黒川茂莉

尺蠖の次の一歩を見守れり

東京都杉並区 浅野純子

新しき靴を履きたり梅雨明けぬ

東京都杉並区 中川琥珀

蝉時雨通り過ぎゆく甲子園

東京都豊島区 潮丸

公園の塩素の匂い水遊び

東京都練馬区 佐上啓

蝉しぐれ和太鼓の音とセッションす

東京都中野区 樋口盛一

河原にて「会社はクビだ」雲の峰

東京都練馬区 成瀬敦

湯疲れの耳うつうつと蝉の声

東京都練馬区 符金成峰

名を知りてますます甘し巴旦杏

東京都文京区 遠藤玲奈

蚊帳吊って川の流れに添いて寝る

東京都青梅市 渡部洋一

すれ違うダメージパンツ夏に入る

東京都清瀬市 林優

夏めくや君の髪解く山の風

東京都狛江市 中田潤

炎昼や無言で並ぶラーメン屋

東京都八王子市 村上ヤチ代

五月雨にカルミアたちも傘開く

東京都東久留米市 愛宕平九郎

山百合の香り乗り来る無人駅

東京都東久留米市 恩田瑛梨

炎天を知らぬ男や昼の酒

東京都府中市 櫻井光

夏空へシーツ一片捧げ終え

東京都町田市 赤鬼

梅雨の朝朝日がそっとあくびする

東京都町田市 公弓月

この暑さロボットだってきつかろう

東京都町田市 のらちゃん

夏帽子飛んだ過去からコマ落とし

神奈川県川崎市 雲舟

君去りて木影を揺する蝉の声

神奈川県川崎市 けい

空気入れ水入れ子入れプールかな

神奈川県川崎市 子卯月

夏の宵君の隣で眠くなる

神奈川県川崎市 鈴蘭

B型狙ふぶよ討ち取りて庭で飯

神奈川県川崎市 長橋すま子

どこまでも海だねと見詰む炎天

神奈川県鎌倉市 日々薺

掘って掘って探し当てたる根切虫

神奈川県相模原市 あづま一郎

綿菓子をちぎり投げたか夏の雲

神奈川県相模原市 平幸恵

噴水や雲に言葉を置くやうに

神奈川県相模原市 渡辺一充

朝やけの畑居すわるひきがえる

神奈川県茅ケ崎市 つぼ瓦

傘雨忌の込み合つてゐる老舗蕎麦

神奈川県藤沢市 藤之沢いなほ

開くたびジャズの音のドア誘蛾灯

神奈川県三浦郡 葉山さくら

何枚も御召物変え夏行事

神奈川県横浜市 扇千誉

夏雲を仰ぎし見れば何くそと

神奈川県横浜市 要へい吉

子の帽子くしゃくしゃになり夏果つる

神奈川県横浜市 吉良水里

華のまま積もりて魅する沙羅の花

新潟県南魚沼郡 高橋凡夫

空蝉に友の死重ね涙する

石川県金沢市 岩本公子

梅雨月夜背の影なぞる指愛し

石川県金沢市 Rey

音ひとつ咲くまま落ちる夏椿

長野県諏訪市 近藤久世

航跡の白一筋に夏の潮

岐阜県岐阜市 柴田恭雨

蜘蛛殺め灼熱地獄の夢を見し

静岡県湖西市 市川早美

全力で走りぶつかりさうな夏

静岡県富士市 城内幸江

親戚の犬と見上げる夏の空

愛知県稲沢市 桐生由美江

夏期講習毎年わたしは恋をする

愛知県春日井市 Rico

見えぬ刃で草薙ぎ倒す草刈機

愛知県高浜市 篠田篤

ハイビスカスねぼけているのか西を向く

愛知県名古屋市 大橋由奈

ソーダ水先に手を出す影法師

愛知県名古屋市 横井美佳

旱天にラリー追う目の渇き哉

三重県熊野市 南信

部屋中に喪服脱ぎ捨て蝉時雨

三重県松阪市 谷口雅春

達磨図の白眼もありて夏果てぬ

滋賀県草津市 山元遊文

翡翠の嘴一寸ほどの光あり

滋賀県湖南市 岡崎逹栗

君の汗私の肌で溶ける朝

京都府京都市 うたこ

息かけられて取り乱る蟻の道

京都府京都市 太田正己

打ち水の架ける虹橋どこへ行く

京都府京都市 橋本翼

髪切って君に会う二時雲の峰

京都府舞鶴市 青海也緒

雲ふたつ夏空ふわり大江山

京都府与謝郡 真本笙

晩夏光海にいちまい敷かれけり

大阪府和泉市 小野田裕

蚊遣香ほのと通勤快速車

大阪府和泉市 清岡千恵子

いかほどの距離おくべきやサングラス

大阪府大阪市 上田禮子

海沿いの脇見渋滞水着ギャル

大阪府大阪市 小戸真梨子

炎天の寝釈迦の足のたじろがず

大阪府大阪市 清島久門

雷雲をこわがり走る子供たち

大阪府大阪狭山市 ひでみ

平成の最後の夏や四十度

大阪府泉南郡 藏野芳男

蝉時雨病床の母なにを聞く

大阪府高石市 岡野美雪

実梅とり少年の声大人びて

大阪府寝屋川市 伊庭直子

潮騒や乳呑み児の汗包まるる

兵庫県明石市 田淵克洋

夏の駅外柔内剛の母を待つ

兵庫県明石市 康子

三尺寝額で零す缶コーヒー

兵庫県尼崎市 尼島里志

按摩師の背伸びしている立夏かな

兵庫県尼崎市 大沼遊山

風鈴のありか求めて立ち止まる

兵庫県尼崎市 宮武桜子

アスファルト蝉の涙を焦がす海

兵庫県神戸市 一徳

夕風に矢車草の丈くらべ

奈良県奈良市 堀ノ内和夫

カーテンの白むとともに蝉しぐれ

和歌山県和歌山市 貴志洋史

草笛とはしゃぐ童の長い影

鳥取県鳥取市 こらてく

黒雲の堆き海軒菖蒲

岡山県岡山市 森哲州

畑に出て初めて知った祖父の汗

広島県広島市 古山彩花

押し黙る家族にブーンと兜虫

山口県山口市 鳥野あさぎ

ほうたるに甘きはどれか聞いてみる

徳島県阿南市 深山紫

ひまわりや皆勤賞の整骨院

徳島県徳島市 藍原美子

磯釣の腰に吊せる蚊遣香

徳島県徳島市 有持貴右

夕立や犬と少女のずぶぬれに

徳島県徳島市 笠松八重子

上海の孫よりメール夏はじめ

徳島県徳島市 島村紅彩

夏夕焼路地よりロバのパン屋来る

徳島県徳島市 隶罐▲ヨ

黒揚羽路地の奥より帰り来ぬ

徳島県徳島市 遊月

芍薬の潔く散り行きにけり

徳島県徳島市 山本明美

大魚射た海猫彼方遠くなり

香川県高松市 磯崎美奈子

臨月のとびきり高い苺パフェ

愛媛県伊予郡 松田夜市

満員の桟敷団扇の休みなく

愛媛県西条市 渡辺国夫

ネムリグサ謙虚に生きる道しるべ

愛媛県松山市 宇都宮千瑞子

甲子園この暑さでも平気だよ

福岡県北九州市 赤松桔梗

日車の日がないちにち日と遊び

佐賀県唐津市 浦田穂積

蚊を叩くその手は弥陀を拝んだ手

長崎県佐世保市 團俊晴

モルタルも一つの地層苔茂る

長崎県長崎市 塩谷人秀

そよ風やチリンと涼し児の寝息

熊本県熊本市 美遊

新茶にはこの羊羹と決めており

宮崎県日南市 近藤國法

めくる日々季節の祭り艶やかに

鹿児島県鹿児島市 有村孝人

講義より耳に焼きツク蝉時雨

沖縄県名護市 三蹴出猿番

日焼せし腕に巻かれるマンセッテ

アメリカ合衆国カリフォルニア州 鈴木良子

※俳号で応募された方は、原則として俳号で掲載させて頂いております。

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