HAIKU日本大賞 大賞発表

HAIKU日本2020冬の句大賞

大賞
冬の海正拳突きの子らに湯気
[ 東京都世田谷区 小澤康喬 ]

(評)子どもたちによる、空手の寒稽古に出くわしたのでしょう。掲句の海は、荒涼とした冬にあっても、子どもたちがひざ下まで入れるような穏やかな波打ち際ですが、海水の冷たさはいうまでもありません。一丸となって気迫のこもった正拳突きを繰り返すうちに、子どもたちの道着から湯気が立ちのぼりだし、力づよく春の到来を呼び寄せているかのよう。2020年東京オリンピックに採用された空手競技、その裾野を担う子どもたちの稽古風景です。

特選

特選
カトレアを抱いて駆け込む三両目
[ 大阪府大阪市 清島久門 ]

(評)「カトレア」は洋ランの仲間でもまさに花の女王にふさわしい優雅さと格調の高さがあります。この花があるだけで一気に華やぎます。「カトレアを抱いて駆け込む」シーンとは・・・。愛しい人への贈り物でしょうか。そして、三両目に駆け込む。どんな女性が乗っているのでしょうか。想像力を掻き立てられるシチュエーションを見事に詠み切った十七音です。

特選
しなやかな福笹に鯛踊りけり
[ 徳島県徳島市 有持貴右 ]

(評)一月十日の十日戎。参詣人が買い求めた福笹に鯛の飾り物が揺れています。恵比須様が釣り上げた鯛はどの縁起物より目を引きます。「商売繁盛で笹もってこい」の威勢の良い呼び込みの声も聞こえてきそうです。鯛に焦点を当てることで新年の景を鮮やかに印象付け、作者の嬉しさを表現しています。

準特選

秀逸
もう誰も戻らぬ家や雪無言
[ 北海道札幌市 夢老人 ]

(評)作者の住む家に、作者以外「誰も戻らぬ」ようになったのでしょうか。作者が家を残して引っ越したのでしょうか。詠嘆の「や」によって、長年暮らしてきた家への思いの深さが読み取れます。また「や」の切れによって間が生まれ、音もなく降る雪の情景を鮮明にして一句に哀感を引き出しています。

秀逸
群青の天突き破る雪の嶺
[ 東京都新宿区 貞住昌彦 ]

(評)真っ青な空に聳える冬山を力強く雄大に詠んだ一句。「突き破る」という比喩が堂々たる主張を持って「雪の嶺」を読み手の眼前に現わします。「雪の嶺」は冬の澄んだ大気の中では殊更に鮮やかです。「群青の天突き破る」の措辞が雪を被った美しい冬山の魅力を存分に伝えた一句です。

秀逸
一杯のホットコーヒー雪催い
[ 大分県国東市 吾亦紅 ]

(評)季語「雪催い」は、雲が垂れ込め今にも雪が降ってきそうな空模様。雪にならないうちに戻れたのは何よりのこと。九州に住む作者なら今は雪の降ってくるのを心待ちにしているのかもしれません。温まった部屋で寛ぐ作者の時間はゆったりと流れ、誰もが分かり合える至福の時間です。

秀逸句

霜柱不協和音の通学路
[ 岩手県盛岡市 蘭延 ]

(評)何気ない冬の朝の光景が、「霜柱」の音によって印象深く描かれました。間隔を置かずに名詞が並んで、格助詞「の」で見事に流麗な句に仕上げています。登校中の何人かが音を鳴らし合っているのでしょう。「霜柱」を踏んで燥いでいる景が浮かびます。「霜柱」の「不協和音」が楽しく耳に届きます。

小夜時雨君は彼奴の膝枕
[ 栃木県日光市 慧織 ]

(評)初冬の夜、にわかに降る雨「小夜時雨」が古き時代へと読者を誘います。読み方によってはなかなか複雑な一句。現代の源氏物語を読むような詩情性があります。「彼奴」には卑しめと親しみが込められています。彼奴と君、彼奴と作者の関係が意味深な情景を浮かび上がらせ、作者の切ない胸の内が伝わってきます。

配達の赤きバイクや松の雪
[ 千葉県船橋市 川崎登美子 ]

(評)庭の松を包み込んだ雪。純白の世界に「赤きバイク」が目を引きます。色彩の鮮やかな対比によって郵便配達の姿が浮かび上がり、「や」で詠嘆したことで雪の中手紙を届けてくれることへの労いの気持ちも伺えます。「松の雪」の情景も美しい情趣ある一句。

寒椿地上の華と成りにけり
[ 新潟県南魚沼郡 高橋凡夫 ]

(評)素朴な美しさの「寒椿」は花が少ない冬期ゆえ、尚更愛おしく感じられます。作者もきっとそんな優しい目で眺めていたのでしょう。「寒椿」という一物仕立ての句を「成りにけり」とすっきり詠み上げました。地上に落ちてもまだ生命力を感じさせる「寒椿」を「地上の華」と美しく詠んでいます。

もうそこにないかも知れぬ星冴えて
[ 山梨県南アルプス市 小林克生 ]

(評)「星冴えて」は透き通った夜空に凛と輝く星の表現。宇宙に思いを馳せた作者の感性のスケールの大きさを感じさせます。何万光年も離れた星々の中には、星の光りとして地球に届いた時にはすでに消失しているものもあるかもしれません。軽く「て止め」としたところも巧みな一句。壮大な宇宙空間が十七音で表現されました。

朽野や誄歌の如く陽の落つる
[ 山梨県南都留郡 雨子 ]

(評)冬景色の季語に「朽野(くだらの)」があり、枯れ果てた荒涼たる景を言います。「誄歌(るいか)」は、死者を送る歌。挽歌と同義語で万葉集には多く詠まれています。野辺送りの際に歌われたもので死者への追悼です。「誄歌の如く」と形容された陽が朽野に落ちていきます。日本人は古来より歌と共に生きてきました。万葉歌のような雰囲気が漂う珠玉の一句。

わがままさうな靴を揃へて初御空
[ 大阪府大阪市 清島久門 ]

(評)「わがままさうな靴」で、元気ではちきれんばかりの子供の姿が浮かび、「揃へて」に優しさが感じられます。お正月に久しぶりに集まった親戚の子供たちの靴を揃えているのでしょうか。ほのぼのとした光景と、見上げた「初御空」に新年の幸せな想いが込められています。

寒月よ我がゆく道を照らしだせ
[ 大阪府高石市 岡野美雪 ]

(評)「寒月」は凍てつく空にかかる冴え冴えとした光の月。語感からもその鋭さは伝わってきます。冷たい月光に影も黒々と落ちているそんな夜に、「我がゆく道を照らし出せ」と願う作者。人生の岐路に立って思い悩んでいるのでしょうか。「寒月」の青白い光が、作者の真摯な姿に届きます。

絵馬の鳴る天満宮の筆始
[ 兵庫県尼崎市 大沼遊山 ]

(評)「天満宮」の祭神は学問の神様として崇められる菅原道真。新年には恒例の書初めが行われる大阪天満宮の風景でしょうか。「絵馬の鳴る」で、たくさんの絵馬が掛けられ風に揺れる軽やかな音が届きます。粛々とした新年の空気に包まれる中、静かに自己と向き合う作者。「筆始」に臨む作者の心境を読者に投げかけてくる秀句。

摩耶山の面擡ぐる初句会
[ 兵庫県神戸市 季凛 ]

(評)「摩耶山」と言えば、神戸の街を見下ろすかに立つ山。美しい自然と美しい夜景を満喫できる港町・神戸のシンボルです。「面擡ぐる(つらもちあぐる)」の表現にこの山への親しみがこもっています。「初句会」は、どんな楽しさだったのでしょう。いつも見ている山の固有名詞が入ったことで読み手のイメージが膨らみます。

父逝きぬ空く心にも射す初日
[ 奈良県奈良市 緑風 ]

(評)「空く」の空の一文字がこの句の良さを引き立てています。色即是空の般若心経を彷彿とさせ、この一語によって父への深い想いが凝縮されています。「射す初日」に包まれて身も心も和らぎ、希望が芽生えてきたのかもしれません。初日の輝きが、まだ悲しみの癒えない作者に大いなる恵みを届けます。

道風をゆずらない妻花歌留多
[ 山口県山口市 鳥野あさぎ ]

(評)「道風」は平安時代を代表する「三蹟」の一人である書家、小野道風(おののとうふう)。「花歌留多」では、十一月の絵柄で柳に飛びつこうとする蛙を眺めているお方です。束の間ののんびりとした時間を「花歌留多」で過ごしながら、思わぬ妻の逆襲に遭う作者。作者の寛大な心がユーモラスに描かれています。

冬晴れや軍手新調野良始め
[ 徳島県徳島市 粟飯原雪稜 ]

(評)例年にない暖かさが続いたこの冬。野菜作りは土壌からと、作者も始動したようです。「軍手新調」と詠み、これからの本格的な作業に向けての心意気が伝わってきます。抜けるような青空の「冬晴れ」が農作業のスタートダッシュと一句の立ち上がりを見事に決めています。

一つせば二つ忘れてゐる師走
[ 愛媛県西条市 渡辺国夫 ]

(評)師僧も忙しく走り回る歳末の季節感を表わす「師走」。十二月は僧にとって檀家回りなどに追われます。「一つせば二つ忘れてゐる」の措辞通り、私たちも今年やり残したことと新年を迎えるためのこととに追われます。中七を句跨りの九音にして畳み掛けていくことで、師走の忙しさをより色濃く表現しています。

廃屋の蝋梅匂ふ日を浴びて
[ 大分県豊後大野市 後藤洋子 ]

(評)極寒に咲く「蝋梅」は蝋細工のような花びらを持ち蘭のような香りを漂わせます。廃屋で懸命に咲く姿は、その艶麗さが却って哀れを誘ったのでしょう。「日を浴びて」と倒置法で詠むことで句に余韻を持たせ、淡黄色の小さな花を一杯咲かせている姿が廃屋との対比で読み手に印象深く届いてきます。

佳作

金髪の青年ひとり凍つる終点
北海道上川郡 夏埜さゆり女
消えてゆく六角の雪君の肩
北海道千歳市 暁夏
老木のしずかな意志や冬木の芽
北海道札幌市 土橋ゆりな
おちばふむシャリシャリと音楽しいな
北海道函館市 庭田健吾
焼藷を買ふためだけの外出す
北海道函館市 庭田麻樹
冬の富士微動だにせぬ達磨かな
青森県八戸市 金田正太郎
雌伏とはかくも秘かに竜の玉
宮城県仙台市 鹿目勘六
空動きさてこそ今日は鰤を炊く
宮城県仙台市 繁泉祐幸
熱燗と炙り肴と椚の香
宮城県仙台市 奥山凜堂
めずらしく犬小屋に居る冬の犬
宮城県名取市 松本裕子
孫は2を恐竜と読み冬桜
山形県山形市 一日一笑
乳飲み子を抱っこしつつの初詣
山形県米沢市 山口雀昭
冬耕や地虫ごろりと丸裸
福島県いわき市 白楊
屹立す峰冬空を切り裂けり
福島県福島市 小林一將
雪女愛いたりたる貌の色
茨城県潮来市 仲澤一篤
片思い積もる思いも冬至まで
茨城県つくば市 阿部優樹
湯豆腐や崩して分かつ団欒よ
茨城県水戸市 一本槍満滋
アメ横や異国語多き年用意
茨城県常陸太田市 舘健一郎
氷瀑の一滴の果て海碧む
群馬県伊勢崎市 白石大介
予備校の窓から見える冬茜
群馬県高崎市 すえながもも
手を振って飛んでくる子の冬帽子
埼玉県行田市 吉田春代
早咲の八重紅梅や空真青
埼玉県さいたま市 加藤啓子
鯛焼きや列が9人も進みたり
埼玉県さいたま市 アヴィス
冬帝と見たてし的を射抜きけり
埼玉県さいたま市 坂西涼太
冬薔薇の会ひたき星の王子様
埼玉県さいたま市 本橋葉月
寒晴や真白のシーツ青に浮く
埼玉県所沢市 凛童
ぶかつこうに鮟鱇吊られ出刃を待つ
千葉県我孫子市 八川信也
新年の運を占う茶柱が
千葉県市川市 みぽりん
冬霧の嶽を迂曲のハイビーム
千葉県君津市 ゆーめ
電車待つ青手袋の小さき指
千葉県船橋市 井土絵理子
大寒の痺れるやうな空が好き
千葉県松戸市 有田川あき
ラガーたち赤児抱くごとボール抱き
千葉県南房総市 沼みくさ
鯛焼きの目の恨めしき帰り道
東京都江戸川区 馬祥
キタキツネ見て見られての冬の旅
東京都葛飾区 荒木還暦
ビル解体天を広げて寒雀
東京都新宿区 難波美枝子
寺は門湯冷めて見ゆる朝日かな
東京都豊島区 潮丸
孫抱きし片手拝みや初不動
東京都練馬区 符金成峰
おい刺せよ死んでしまうぞ冬の蚊よ
東京都文京区 遠藤玲奈
どっしりと父の座のあり鏡餅
東京都青梅市 渡部洋一
冬椿さびしからずや法成寺
東京都小平市 佐藤そうえき
冬ざれのスワンボートや井の頭
東京都調布市 原田尚季
鱈鍋や意見は常に食ひ違ひ
東京都八王子市 村上ヤチ代
脊梁よトンネル越ゆる雪の里
東京都三宅島 瀧沢みさ子
こたつ船橋くぐる妙松江堀
東京都武蔵野市 伊藤由美
寄り添ひて貧を忘るる焚火かな
神奈川県川崎市 貞住みえこ
朝日浴び屋根で膨らむ冬すずめ
神奈川県川崎市 町中華
うんと褒めきつく叱つて息白し
神奈川県相模原市 あづま一郎
熱燗は湯桶読みなり年の暮
神奈川県相模原市 中村成吾
九十の春着は少し派手目とし
神奈川県相模原市 藤田ミチ子
反抗の子にも言ひ分霜柱
神奈川県相模原市 盛みさを
胃に落すつらぬくものに寒の水
神奈川県相模原市 渡辺一充
大空にサクッとつぶやく霜柱
神奈川県茅ケ崎市 つぼ瓦
初詣諸願成就の絵馬には子
神奈川県藤沢市 藤乃沢いなほ
鬼の面取りて一献追儺の夜
神奈川県三浦郡 葉山さくら
とりたてて何もなきこと寝正月
神奈川県横浜市 要へい吉
わらべ泣く声ふり向けば虎落笛
神奈川県横浜市 小橋風音
マラソンの八千人の息白し
神奈川県横浜市 竹澤聡
寒月や吾子去るあとのエアポート
神奈川県横浜市 芳賀理音
細雪欄干だけの残る橋
富山県南砺市 珠凪夕波
垂撥にしつらえし冬椿一枝
石川県金沢市 岩本公子
左義長の天高く舞うわが習字
石川県金沢市 純
待ち侘ぶる夜寒紅三度塗りにき
石川県金沢市 玲
初詣大吉よりも吉がよし
石川県金沢市 裕
見えぬもの見える子に問ふ冬の色
山梨県韮崎市 三八五
ヒール脱ぎ金曜の夜ちゃんちゃんこ
長野県南佐久郡 高見沢弘美
案の定しぐれて来たり芭蕉の忌
岐阜県岐阜市 辻雅宏
パチパチと焚き火囲んで野良じまい
静岡県菊川市 供野幸子
都市眠りざわめく銀杏落葉かな
静岡県静岡市 川上森
ストーブや悩みは少し焦げ臭い
静岡県富士市 城内幸江
保護猫のとろけて眠るこたつかな
愛知県岡崎市 西村愛美
成人の日のあちこちの「ひさしぶり」
愛知県高浜市 篠田篤
耐えること多き世にいて根深汁
愛知県名古屋市 久喜聖子
抽選の鐘鳴る師走少女A
愛知県名古屋市 白沢修
満員の車内を冷やす咳の音
愛知県名古屋市 藍太
凍て蝶のひざまつきたる野の仏
愛知県日進市 嶋良二
マンションの窓、窓、窓に干し布団
三重県志摩市 廣岡梅生
冬晴の浜街道に見る南紀
三重県松阪市 春来燕
オハヨーに頷くだけで皆マスク
三重県松阪市 谷口雅春
土の上山茶花ひらり瞑るまで
三重県三重郡 秋文砂祈
しみじみと昭和に戻るちやんちやんこ
滋賀県彦根市 馬場雄一郎
小包のやぶれ目ほのか春隣
京都府京都市 太田正己
しまい湯を湯布院にして去年今年
京都府京都市 田久保ゆかり
蒼天や雪吊り雪を待つかたち
京都府京都市 横滝友子
青年期さらばと枯野ゆく夜汽車
大阪府和泉市 小野田裕
冬ざれや電話ボックス多き街
大阪府和泉市 清岡千恵子
冬日和真木一本の立ち姿
大阪府和泉市 浜田廣照
凍てゆるむ草書のやうなフラミンゴ
大阪府堺市 椋本望生
燗酒と老いてゆく身で雨を聴く
大阪府泉南郡 藏野芳男
除夜の鐘細身の僧は大股に
大阪府寝屋川市 伊庭直子
病窓に母の寝息と小夜時雨
大阪府東大阪市 明霞
住み慣れし村も鎮もる初景色
兵庫県相生市 高田郁子
青髭をなでて赤子の初笑い
兵庫県明石市 大久保洋巳
冬雲を描くに混ぜる赤すこし
兵庫県尼崎市 けーい〇
機の音止みて丹後の年暮るる
兵庫県神戸市 平尾美智男
山の端やかかる茜の冬の空
兵庫県神戸市 村田睦子
暖冬に袖まくりゆく老紳士
兵庫県西宮市 幸野蒲公英
木枯や海へ海へと湯の煙
奈良県奈良市 堀ノ内和夫
大地へと届く高野の氷柱かな
和歌山県紀の川市 走吟
手の甲に風のいたづら雪便り
岡山県岡山市 みくちゃん
雪山や蛇口おろおろ水を吐く
岡山県岡山市 森哲州
ギアチェンジ息吐く先は冬銀河
広島県尾道市 広尾健伸
丸文字の吾子の手紙や春隣
広島県尾道市 帆足あさ
冬木の芽定年面談終はりけり
広島県東広島市 葵そら
三日はや体重計は明日から
広島県広島市 黒うさ狐
柏手が高らに響く初詣で
広島県福山市 石崎勝子
取込みし布団の温み春隣
広島県福山市 林優
山越えて来る北風と干物売
島根県松江市 寺津豪佐
風花のひらひら落ちて道濡らす
山口県岩国市 森英一
六千円婚活パーティー冬木道
山口県山口市 渡邉貴之
冴返るキーホルダーの置きどころ
徳島県徳島市 藍原美子
お茶室に石蕗の一輪あかりかな
徳島県徳島市 青空和子
種まきて畑のふちで日向ぼこ
徳島県徳島市 京
寒鴉はてなはてなと首を振り
徳島県徳島市 島村広子
おでん屋に上海帰りのリルといる
徳島県徳島市 山之口卜一
父を知る人と遭いたる年の市
徳島県徳島市 怜玉
美しき日本の習ひ筆始
徳島県阿南市 土肥つや子
城山や外堀り囲む冬木立
徳島県阿南市 白井百合子
冬の夜やダビンチの謎追うテレビ
徳島県鳴門市 伊勢則子
寒空も心は温い銀世界
香川県高松市 柊
着信音あちらこちらに初便り
愛媛県松山市 秋本哲
頭数増える正月声高く
愛媛県松山市 宇都宮千瑞子
冬晴れやライダー集う大師堂
愛媛県南宇和郡 栄
侘助や野球少年こうべ垂る
福岡県福岡市 福田泰江
傘立てに大根一本道の駅
佐賀県唐津市 浦田穂積
人知れずひたすらに咲く寒椿
大分県豊後大野市 後藤洋子
本を読む絵になる少女外は雪
宮崎県宮崎市 荒尾洋一
海凪ぎて鳶笛高し三ケ日
宮崎県日南市 近藤國法
年が明け心の窓にまた記憶
鹿児島県鹿児島市 有村孝人
ラーゲリの凍土を解くシュシュひとつ
沖縄県那覇市 成瀬敦